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呂布、帝位に就く―――
この知らせは、すぐに中国全土に広まった。
「…呂布が皇帝を称したそうですね。」
「うむ…。だが私はあの男が皇帝になったことよりも、我らと同等の戦力を持ったことの方が心配だ。」
とある一室で二人の男が話し合っていた。
「驚くことに、袁術の嫡男は自ら帝位を譲ったと聞きます。そして、自分自身は隠居するとのことです。」
「私もそう聞いた。だが、呂布の性格からして、世の者はそれをどう見るか…。」
その男はそう言ったものの、何かを思いついたのか、その顔からは笑みが零れていた。
その時、一人の男が入ってきた。
「失礼致します。曹操様、軍備が整いました。」
「うむ。郭嘉(カクカ)、ご苦労だった。」
曹操と呼ばれた男は、先程話し合っていた男の方を向くとこう言った。
「では、我らも準備を致そう。劉備殿。」
その頃、当の呂布は陳宮と恭平を連れて寿春にいた。
「我らはこれより、呂布様…いえ、陛下の配下となりましょう。」
袁術の将だった紀霊(キレイ)が、袁術軍を代表して言った。
「呼び方などどうでもいい。まずはお前らの名を聞かせろ。」
言われた通り諸将は名を名乗った。
先程の紀霊の他に、李豊(リホウ)、陳紀(チンキ)、楽就(ガクシュウ)、梁綱(リョウコウ)、張勲(チョウクン)、陳蘭(チンラン)、雷薄(ライハク)、楊弘(ヨウコウ)、閻象(エンショウ)がいた。
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