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(…篭城から三ヶ月近く経つけど、特に何も起きないな…。)
真夜中、城内には諸将の部屋を一人、見回っている恭平の姿があった。
恭平は篭城した時からこれを行っているが、誰かに命令された訳ではない。
その恭平がある一室の前で立ち止まった。耳をすますと、その部屋から男達の話し声が聞こえてきた。
「…我らに残された道はこれしかない…。」
「…ならば決行は明日の早朝だ…。兵を連れて曹…」
「何を話しているのですか!?」
恭平は一番聞きたくないことを聞き、とっさに男達の前に姿を現した。
一時の静寂の後、男達の一人が口を開いた。
「張恭殿…。何故ここに…?」
そう言ったのは宋憲だった。両脇には魏続、侯成の姿もある。
「先程から何か話されていた様ですが、出来れば僕にも教えて下さい。」
興奮した様子で恭平が言った。
一説によれば、侯成は禁酒中の呂布に善意で猪料理と酒をもてなした。
しかし、呂布はこれに激怒し、百叩きの刑を命じたことから宋憲、魏続、侯成は呂布を恨むようになった。
その後、三人は反乱を起こし、曹操に降伏している。
恭平が毎日、諸将の部屋を見回っていたのも、この三人が反乱することを悟っていたからだった。
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