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全ての準備が整った頃、城内には呂布、陳宮、曹性の姿があった。
「陳宮、お前は臧覇殿の元に向かえ。」
実は恭平が去った後、陳宮は北海と寿春からの挟撃することを考え、曹操との戦を回避する様に進言していた。
「陛下、それでは私もご一緒させて下さい。」
「いや、曹性は俺について来い。その代わりと言っては何だが…張恭を連れて行け。」
「それでは戦力に偏りが……」
「承知致しました。」
曹性が何か言おうとしたが、陳宮の言葉によって遮られた。
曹性も陳宮が承諾しては何も言えないので、そのまま呂布に従った。
「それでは陛下、我らは先に北海へ向かいます。」
陳宮がそう言って一礼すると、隣にいた恭平は呂布を見ることもなく、黙って礼をした。
「あぁ…。」
呂布は恭平を見ながら言った。
陳宮率いる二万の軍が出発した後、呂布は何か大きな決意を持って兵達の前に立った。
「俺達はこのまま曹操軍に戦いを挑む!!」
呂布の言葉に兵達は動揺し、場は騒がしくなった。
「陛下!二万では曹操に敵うはずがありませぬ!」
呂布を必死に止めようとしたのは曹性だった。
「分かっておる。俺は宋憲らが憎くてこんなことを言うのではない…。ただ、曹操に一泡噴かせてやりたいだけだ!」
呂布は曹性に向けていた顔を戻すと、話を続けた。
「十万の曹操軍が相手だ!曹操に降伏しようが俺の元を離れようがお前達の好きにしろ!俺に従う者だけここに残れ!!」
しかし、城を出る者は誰一人としていなかった。
「陛下!我らは最後まで陛下に付き従います!何なりとお命じ下さい!」
張遼の言葉の後、兵達からは大きな雄叫びが上がった。
「陛下、私もご一緒させて頂きます。」
曹性の言葉に、呂布は全体を見渡しながら小さく頷いた。
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