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辺りがやけに騒がしい…。
「そこの者。ここで何をしている?」
恭平が目を開けると、そこには見知らぬ男がいた。
(あれ?確か自分の部屋で寝てたよな…)
男は今の時代には無いような服を着ているが、気付くと恭平自身の服も変わっていた。
「怪しい奴だ…。さては曹操の手の者か!?」
「!!!そ、曹操だって!!?」
恭平は思わず叫んでしまった。曹操は三国志に登場する人物だからだ。
しかし、目の前の男は真剣そのもので、とても嘘をついているようには思えない。
夢かと思い、自分の頬をつねるが痛い。そして、男はそんな恭平の様子を不思議そうに見ていた。恭平は気を取り直し、口を開いた。
「あの…失礼ですが、あなたは誰ですか…?」
「…お前、本当に曹操の手の者なのか…?私は陳宮(チンキュウ)だ。」
(やっぱりそうだ!三国志の世界にいる…。まさかタイムスリップ!?…いや、それよりこの人が陳宮ってことは…)
「あの、もしかして呂布様もいらっしゃいますか?」
「何故、素性も知らない者にそのことを言わねばならない?それより…お前は何者だ?」
陳宮はそう言うと剣を抜き、恭平の喉元にあてた。
「ま、待って下さい。僕は張…」
「はり…?どうした?自分の名も言えぬか?」
(やばい!ここは中国だ!こんなとこで本名なんか言ったら間違いなく殺される!ここは姓と名と字(あざな)だから…)
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