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「張恭(チョウキョウ)です。」
「…字は何と言う?」
「元平(ゲンヘイ)…です…。」
自分の苗字と名前の最初と最後を合わせただけだ…。
「では張恭殿。そなたはどこの者だ?」
剣は未だ恭平の喉元にあてられている。
「ぼ、僕は呂布様の下で働きたいと思い、ここまで来ました。」
これで陳宮が納得するはずがない。恭平は恐怖のあまり目をつむった。
(………?)
しかし、何秒経っても剣が恭平の喉を貫くことはなかった。
恭平が恐る恐る目を開ける。そこに剣はなかった。
「ふぅ…。」
大きく息をつく。
「お前、俺の下で働きたい、と言ったな。」
「え?」
いつの間にか陳宮の隣に男がいた。身長はゆうに2メートルを越しているであろう大男。
先程の話から推測すると、その男が呂布であることが分かった。
(…終わった……。)
今は陳宮に疑われていて、そこに呂布が来た。恭平の頭の中には『死』という文字しかなかった。
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