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スタートダッシュ
「ガタッ」
物音にびっくりして長椅子から跳ね起きる。
初瀬田は冷静に、枝漓瑠の入っているベットのカーテンを閉めた。
「誰。」
きつい声に、相手はひるんだようだった。
「すみません。立ち聞きするつもりはなかったんすけど・・。」
それは、枝漓瑠と同じく男子に疎まれている人だった。
「威君。どうしたんだい?」
初瀬田がびっくりした声をだす。
「あ、初瀬田さん。すみません。オレ、初瀬田さんにお話があって・・。」
野良威。満乙の隣のクラスで、学年1有名な女たらしだ。
立ち聞きされたことにいらだちを覚え、言葉を発しようとしない満乙に、ためらいがちに野良は言った。
「まさか、早乙女さんが・・・。」
手近にあった絆創膏の缶をつかむ。180センチある的めがけ、投げようとかまえる。
「満乙ちゃん!待った!待った!」
初瀬田が絆創膏の缶を私のてから奪う。
「いろいろと噂流されるのは嫌いなの。どこから聞いてたの?野良君。」
「あ、すんません。オレ、野田威です。」
「で、どこから聞いたのって聞いてるんだけど。」
「え、えっと、あの子のためなら、死ねるってところからです。」
完全にアウトだ。
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