4人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
思えば、あの時君は何を思ったのだろう。
過ぎ行く日々に消させなどしない。
いつまでも、この胸に罪を携えたまま、いつまでも、君のために償いの唄を歌い続けるよ。
*
それは、少し前の記憶。
「早乙女満乙さん、早乙女満乙さん。至急職員室まで――――。」
丁度昼休みの時のことだった。
ぶしつけな放送は、屋上で風にあたっていた、早乙女 満乙の耳にも、はっきりと届いた。
また弟が何かをしたのだろう。1歳しか離れていない弟の面倒から解放されるのは、学校を卒業してからの1年間だけだった。
「ふぅ。」
満乙は、ためていた息を吐き出し、上履きで階段を軽く蹴り出し、5階の屋上から、1階の職員室へ向かって歩き出した。
最初のコメントを投稿しよう!