序章ー真白い季節にー

8/34
前へ
/121ページ
次へ
 中々見つからない母の姿に視線を彷徨わせていると、不意に背後から物音が聞こえてきた。  恐る恐る音が聞こえてきた方へと視線を移動させると、普段使われていない部屋のドアがほんの少しだけ隙間を覗かせていた。  その部屋は昔、“ある人”が使用していたが病気なのか事故なのか、亡くなってしまった為、使わなくなったらしいと、以前、母親が言っていたのを思い出し、悪寒が背筋を駆け巡った。  その、亡くなってしまった原因も不明で、未だに謎のままらしい。 ――ガタン!、ガタ……   一際大きく聞こえてきた音に、レナは心臓が飛び出そうなほど驚いた。
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

161人が本棚に入れています
本棚に追加