序章ー真白い季節にー

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 そして、何も聞こえなくなると、レナは胸を撫で下ろし、安堵の息を吐いた。  が、今度は低い呻いているような声まで聞こえてきて、レナはその場で固まってしまった。  レナは、幽霊のような類のものが何よりも苦手だった。  逃げようにも足が動かず、レナはどうしていいか分からなくなってしまった。  その間にも呻き声は徐々に、はっきりと聞こえてきた。 (……!、近づいてくる……!?)  それと同時に、あの物音もどんどん近づいて来て、ついにレナは、ドアの隙間から細くて白い手が出ているのを見てしまった。
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