序章ー真白い季節にー

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 最初に見えたのは黒一色で、続いて見上げると迷惑そうにしている鮮やかな紅(アカ)と視線が重なった。  レナは、その紅色に見入られたかのように凝視していると、不意に声が降ってきた。 「…鬱陶しい、離れろ」  低く、ぞくりと背筋も凍るような声色に、レナは我に返ると慌てて離れた。 「あ…え、えっと……す、すみません!誰か居るなんて知らなくて……その……」  勢い良く謝罪の言葉を述べるが、射ぬくような鋭い瞳に見つめられ、途中で言葉を濁してしまった。  視線も徐々に下がり、重い空気が周囲に漂い始めた。
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