序章ー真白い季節にー

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 青年は、突然のことに避け切れずその場に勢い良く尻餅をつく形となった。  レナはその隙に、今日、何度目かの悲鳴を上げ走り去って行った。  残された青年は、レナが走り去った方向をじっと睨んでいたが、やがて何事もなかったように立ち上がり、服に付着した土埃を手で払い落とした。  そして、レナが走り去って行った方向へと足を動かした。 「はぁ…、はぁ……、こ、ここまで来れば安全だよね……」  ずっと走り続けていたせいもあってか、レナは随分と息があがっていた。
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