遺書

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――― ―― ― 自分のカクカクした文字の羅列に目を通し終えて、祐介は便せんを封筒に戻した 今更ながら、パソコンで打つべきだったと後悔している自分に苦笑がこみ上げてくる 自分以外の生物は絶滅したんじゃないか? そう疑ってしまうほど、早朝の屋上は無機質な静けさに包まれている 投身自殺を選んだのは屋上という場所が最適だと思ったからだ 屋上から投身したとなれば、イジメの首謀者もそれに荷担していた金魚の糞達も、母校の校舎を見る度に、祐介のこと思い出すだろう… 懐かしき学舎が、忌々しい過去の象徴となる―― そう思うと校庭に叩きつけられる痛みも、愉悦に変わる気がした ちらりとのぞいた腕時計の長針は6を直角に指していた
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