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十六夜の問いに三人は顔を見合わせて、
「何処って、ここはアークトルウス国の首都ペガススって街にあるスラム街の一角だけど」
「アークトルウス……?
……ペガスス?」
十六夜は知らない街の名前に首を傾げ困惑した。
「もしかして知らないの?
そういえば、服装も変わってるって思ってたけど何処かの国から来たの?」
プロキオンは十六夜の服装に興味津々で色々と聞いてきたが、当の十六夜は今までの出来事を整理していたのであまり答えなかった。
「ところでお前、武器の一つも持っていないのか?
女の一人旅は危ない
服装も目立つから襲って下さいって言ってるようなものだぞ?
明日にでも買ってが、女物でいいか?
あと、何か扱える武器はあるか?」
ベテルギウスは十六夜の服装を軽く見るとそう忠告するように訊ねた。
「あ、ありがとう
あまり気を使わなくても平気だよ
でも、お願いできるなら男物の服と何か被り物でいいよ。
あと、一応槍術なら出来るけど」
十六夜は少し考えてから言うと、
「判った、俺のセンスだからあまり期待はしないでくれよ?
武器は槍か戦斧で買えそうなのを買ってくる
今日はもう遅いからもう寝な?」
「おやすみなさい
あ!最後に一つだけ聞きたいの!
私以外に変わった服装をした三人見なかった?」
「俺が見つけたのはお前だけだった」
十六夜の言葉にべテルギウスは振り向かずにそう答えた。
「そう……ありがとう」
十六夜は涙を浮かべた笑顔でそう言った。
べテルギウスたちはそのまま奥へと戻っていった。
一人になった十六夜はその場に座りこれからの事と三人の無事を考えていた。
そして夜は更けていった。
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