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「それで俺たちが喚ばれたってことか」
シオンの話しを聞き水樹はそう言った。
「本当の事を言うとあなた方の姿を見たときに嬉しくてしかたなかったのです
祈り始めてから数日が経っていたのですが何も起こらずいたのが昨夜から急に『声』がのようなものが聴こえ、朧気な姿が視えたのです」
シオンは涙目になりながらもそう話した。
「やっと私の祈りが通じたのだと、私の判断は間違っていなかったと思えて……」
そこには為政者としてのシオンではなく、悩み苦しんでいる一人の少女としてのシオンがいた。
「あ~感動しているところ悪いけど、僕たちは十六夜探したいんだ」
「俺たちより早くにここに来ているはずなんだ」
橙雅と水樹はシオンに十六夜の事を聞いた。
「十六夜という方は私にそっくりなのでしたね
それなら早く見つけないといけませんね」
「何故ですか?」
「この街の外れにはスラム街と呼ばれるところがあるのです
そこにいる人々は私たちのような王族や為政者たちを毛嫌いして何度も暴動のような事をするのです
今は、それぞれで小競り合いをしているのか大人しくなってますけど」
「それは心配だな」
「ええ
彼らに見つかっていないといいのですけど」
水樹たちはシオンとの話しが何かかみ合っていない気がして、
「いや、俺たちが心配しているのは、十六夜に手を出したらということなんだが」
「え?何故ですか?」
「それはオレたちより強いからだよ」
「まだ一度も勝ててないですからね」
そしてこの出逢いがすべての始まりとなる……
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