第三章‡第一節†流れへと導く龍†

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べテルギウスは立ち上がり、 「そうだこんなのしかなったが良かったか?」 立て掛けていた槍を持って十六夜に見せた。 それは柄が長く小さい鎌のような刃が横に付いた槍だった。 十六夜はその槍を受け取り、側には誰もいないのを確認してから槍を一振り、二振りと振り払った。 手に馴染むのが解ると振るのを止めべテルギウスに、 「うん、大丈夫だよ ありがとう」 そう言って槍を壁に立て掛け、三人の方に戻っていった。 「あ、そうだ シリウス、この先どうするか決めた?」 「あ、うん とりあえず、私の友人たちを捜そうかなっと思ってる」 プロキオンの問いに十六夜は今、考えている事を話した。 「だがな、オレが買い出しで出掛けた時、何人かに訊いたが余所者は入ってきてないって聞いたぞ?」 「それに、お前をおいて何処か行く奴らなんてほっとけばいい」 「うん でも彼らは私にとって掛け替えのない存在だから 」 アルデバランの言葉に十六夜は一瞬だけ深く哀しそうな顔になったのをベテルギウス以外は気が付かなかった。 「それに私がいないと……喧嘩ばかりする二人がいるからね」 十六夜は微笑みながらそう言った。
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