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石段の側まで行くとそこには、十六夜とそっくりな女性の幻影が見えた。
十六夜と違うのは着ている服がシンプルな緑色のドレスと幾つか付けているアクセサリーだけで顔や背丈ははほとんど同じに見えた。
十六夜は、何故かこの女性に見覚えがある気がしていたが、どうしてかは解らなかった。
女性は何かに祈る格好で何かを呟いている様な感じだったが、何を言っているのか四人には聴こえなかった。
「これはただの幻影なのか?
それとも、別の何か、なのか?」
水樹の呟きが聴こえたのか幻影の女性は四人の方を見て何かを言い残し、消えた。
「あ…待って
貴女は…」
十六夜は消えた女性に手を伸ばそうとして石段に少し足が乗った瞬間、石段の光りが何かに共鳴するように輝きを増した。
「十六夜!」
水樹は焦って十六夜の腕を掴もうとしたが、十六夜は光りの中へと消えていった。
水樹たちは十六夜を追って光りの中へと入っていった。
水樹たちが光りの中へと消えてしばらくすると石段の光りは消えていた。
何もなかったかの様な静寂だけが辺りを支配していた。
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