『貴雪』side2

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こんな日に日直なんてついていない。 僕の口からため息が漏れる。 職員室から日誌を持ち出そうとした瞬間、本日最初の授業。世界史の教師に呼び止められ日直としてのありがたくない仕事を言い渡されたのだ。 『今日は世界地図を使うから社会科準備室から運んでおいてくれ』 と。教室の天井から吊り下げる形になる世界地図は教室の後ろの席からでも見える大きなものなだけあって重い。 巻物のように巻いてあるがそれをたてると僕の身長を遙かに超える。重さもあり長い世界地図は僕一人で運ぶにはかなり手こずる。 けれど助けを頼むような友達はいなくて…… 「ツいてない…」 僕は前髪をくしゃりとかきあげた。
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