【序夜】

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 「痛っ…」  九峨智夜は激しい痛みを感じて上体を起こした。  ぼやける視界を目を凝らして見る。  目の前には、何もない《無》の空間が広まっていた。  「お兄ちゃんは、今、死んだんだよ」  智夜が痛みに耐えながら、声のした方を見ると、白い衣を纏って、白い翼を背に持つ男の子が立っていた。  けがれを知らない瞳が輝いていた。  年は、七、八歳くらいだろうか。  「お兄ちゃんは、今、死んだの」  今度は、智夜の背後から幼い女の子の声がした。  智夜が振り向くと、男の子と同じように、白い衣を纏い、白い翼を背に持つ女の子が立っていた。  肩まで伸びた髪が柔らかく波打っている。  やはり、年は、七、八歳くらいだろう。  「二人とも何言って…うっ……」    
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