34171人が本棚に入れています
本棚に追加
「………うーむ。
名がないのでは、契約が出来ぬな……どうしたものか……………!
おお!!良い手があったぞ。
我が名をやろう」
この言葉は突拍子な言葉だったけど、スゴく嬉しかった。
けど………───
「それは無理だよ。
この国じゃ、人が人に名前を付けれるのは身内っていうか、家族だけだから」
そう、始めから名前なんて無理だったんだ。
俺には家族がいない。
名前を付けて貰う前に捨てられた。
だから…だから、俺は永遠に名無しだ。
墓標にさえ刻む名前がない。
誰からも自分という存在を呼んでもらえない。
俺はこの時までそう思っていた。
そうこの時までは──
「なら、家族になれば良いだけだろう?
我とそちが結婚なり、何なりして家族になれば、名を付けれるではないか。
という訳じゃ、一番簡単な結婚にしよう」
うん。
この発言には流石の俺も驚きを隠せなかったな。
どう、流石なのかわからないけどさ。
最初のコメントを投稿しよう!