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こいつが高校に来なくなって、もう半年近くになる。 一緒にグラウンドを走った吉野はどこにもいなく、目の前にはほっそりと弱った男が一人横たわっている。 「…親父がさ」 「ん?」 「親父が俺に跡を継いでほしいって、いつも言ってたんだ」 「……うん」 折れそうなほどほっそりとした腕は、シーツを強く握りしめている。 「毎日、勉強しろって、いつも言ってたんだ」 「…うん」 「でもな…入院してからは、全く言わねえんだよ…んな心配しなくても、大丈夫だってのにさ」 「……うん」 「俺…馬鹿だけどさ。親父もお袋も、楽できるように、頑張ってやりたいんだ…」 「あぁ…できるよ。だから、早く元気になれ」 笑う吉野の額には、延びた前髪が張り付いていた。
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