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「…んじゃ、俺はそろそろ帰るな。お大事に」
「ん…ありがとうな」
汗ばんだ姿は、吉野を弱々しくみせた。
「……吉野」
病室をでる際に、つい呼んでいた。
「……また、一緒にグラウンド走ろうな」
吉野が緩く微笑む。
もしかしたら、笑うのもしんどいのかもしれない…。
病室の扉は静かに俺と吉野の間に壁を作った。
この壁の向こうでは、吉野は……。
もしかしたら、まだ笑ってるのかもしれない。
もしかしたら、辛さで苦しんでいるのかもしれない。
もしかしたらーーー
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