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奴の手は、日頃どこか怪しい気がする。 勿論、俺が疑ってるからなのだが、奴が疑わしい部活に入ったって事も関係してる。 奴の握ったボールが消える。ボールが増える。ボールがハンカチに変わる等、その他諸々。 奴は手品部の部員だ。ついでに俺は帰宅部だったりする。 小学校からの付き合いだが、奴が手品をしだしてから違う人間にすら見えてくる。 俺は指を鳴らす。 先ほどからカードマジックを見せて貰ってる。スペードのAは確かに、束の真ん中辺りに差し込んだ。にも関わらずだ。 「……」 奴が捲った束の一番上にあるカードは、スペードのAである。 「…まじかよ~」 ニヤニヤしながらシャッフルする奴の手から、俺は手を伸ばしてトランプを奪う。 パッと広げるが種はなさそうだ。 まじかよ。
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