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先生も出て行って1人になった病室。
ゆっくり体を起こして見る。
ズキッと体のあちこちが痛かったが無理に起き上がった。
足には包帯が巻いてあるが骨折をしている訳ではないようだ。
窓からは街が見えているが初めてみた街だった。
私は…
私が生きていた記憶を自分て消してるんだ。
喜びも。
悲しみも。
…私はどんな人だったんだろ…。
さっきの人達はクラスメートかな?
あの中に親友はいたのかな…。
彼氏は…いるのかな…。
そもそもなんで怪我してるんだろ…。
疑問しか出て来ない。
「こらッ!!瀬戸さん?
寝てないといけないじゃないの!!」
勢いよく開けられたドアの向こうには鬼の顔をした看護婦が立っていた。
「どんな怪我か知らないよ…。」
時々走る激痛に耐えながら再びベッドに横たわった。
「お腹と足は縫ってあるわ。」
「ッ…。」
そう言われたら痛くなっていく。
「後は…「もう言わなくていいです。」」
本当に痛くなってきたお腹や足。
何かが傷口で運動会でも始めたんじゃないかってぐらい痛み始めた。
「自分が知りたがってたんじゃないの。
こんなに元気な記憶喪失も珍しいわね。」
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