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僕は人前で泣く事ができない子供だったのでグゥと涙をこらえ我慢していました。しかし、僕の心の中は全く逆でした。心の中では泣き続け淋しくて仕方がなかったのでした…
車が家の前まで着くと僕は友達のお母さんに、
「ありがとうございました」
と一言お礼を言い玄関に向かいました。本当は車から降りたくなかったのが本心でした。
自分の家なのに玄関の前に来るとどうしても家に入る事をためらってしまうのでした。玄関に立つと必ず孤独感と淋しさが一気に込み上げてくるのです。僕はゆっくり玄関のドアを開け、
「ただいま…」
と言うと珍しく母が玄関まで来てくれました。その時僕は玄関に来てくれただけの母にすごく優しさを初めて感じたのです。
「おかえり」
の言葉はなかったが、それより何より母がただ僕のとこに来てくれた事に僕は素直に嬉しかったのです。そして来てくれた母に真っ先に学校で出された宿題の作文の事を話そうとしたのですが母は、
「風邪ひかれたら母さん仕事で面倒見れないんだから早くタオルで体と頭を拭きなさい」
と口調はいつも通りのツンとした口調で僕に言いました。
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