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それから僕は母が兄の頭をしっかり拭いている様子を見ていました。拭き終わると母は兄に
「今日はけんちゃん何が食べたい?」と聞いていました。すると兄は、
「リョウは何がいい?」
と僕に聞いてくれました。僕は、
「カレーが食べたい。母さんのカレーおいしいもん」
と言いました。
この頃から僕の中で母に気に入られたいと強く思うようになり少しずつ僕の方から今までよりも、もっと母に近づきたいと言う思いで一生懸命頑張ろうとしたのです。
母は、
「じゃあリョウが食べたいみたいだからけんちゃんもカレーでもいい?」
と少し呆れたような感じで兄に言いながら台所に行ってしまいました。でも僕はその時ものすごく嬉しかったんです。だって母の作るカレーは本当においしくて食べたかったからです。
ご飯の時間になりみんな集まり食べ始めた時、兄が、
「今日学校で僕のお父さんって言う作文で宿題が出されたんだよ!」
と話しを切り出したのです。
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