幼少時代と母

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僕には2つ上の兄がいて、僕の目には父と母そして兄がいつも楽しそうに遊んでいたり何かとすぐ兄ばかりという姿が写っていました。それはまるで自分が透明人間にでもなったかのようでした… 保育園の頃、ある日僕は近所の幼なじみと家のすぐ近くの公園で夕方まで遊んでいた時の事でした… 友達のお母さんが公園に、 「ご飯だから帰るよ、おいで」 と1人ずつみんなのお母さんが迎えにきてくれて1人…また1人とお母さんと手を繋ぎ帰っていきました。そうしているうちに最後に友達1人となってしまい友達と、 「ママ遅いね!」 と言いながら遊んでるとその最後の友達のお母さんが友達を迎えにきました。 「りょうくんのお母さんはまだなの?おばさんが送ってあげるから一緒に帰ろうっか!」 と声を掛けてくれましたが僕は、 「ううん、ママもうすぐくるから大丈夫!ママがくるまで待ってる!」 と言うと友達はお母さんと一緒に手を繋ぎ、 「リョウくんまたあした遊ぼうね。バイバイ」 と手を振り友達がお母さんと手を繋ぎ帰って行く後姿に僕は手を振り返し見送っていました。 一人ぼっちになった公園で僕は一人ブランコに乗りながら母が迎えに来るのを待っていました。
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