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それから10年もの長い月日が流れ、恵美の娘は高校生になった。
『もー!ママのばか!なんで起こしてくんなかったの?!』
その日は朝から大騒動。
寝過ごした事が原因だ。
『ママは何回も起こしたよ!起きなかったあんたが悪い。ほらさっさと行きな!』
恵美が娘の背中を押す。
娘は慌てて家を飛び出した。
『真奈美~!』
恵美が娘の名を叫ぶ。
『ほら、弁当忘れてるよ!』
と言って恵美が弁当を差し出す。
『もぉ時間ないんだってばぁ~!』
真奈美は、差し出された弁当を乱雑に受け取ると、自転車に跨がり急いでペダルを漕いだ。
キーンコーン…
『セーーフ!』
遅刻寸前で教室に飛び込んだ真奈美が叫ぶ。
『危なかったね~真奈美。今日遅刻してたら草むしりじゃん』
真奈美の隣の席で友人の由紀が笑いながら真奈美に言った。
真奈美の通う学校は、遅刻が5回たまると罰として、放課後居残りで校庭の草むしりをさせられる。
真奈美はすでに4回たまっているため後がない状態だ。
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