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『真奈美………』
裕介は優しく真奈美の背中をさすった。
『大丈夫。ありがと…』と、真奈美が裕介の手を離し、ゆっくりと立ち上がる。
2人は図書室へと向かった。
図書室へつくと、2人は過去の新聞を手に取り、1つ1つの記事に目を通した。
無言で新聞を見つめる2人。
しばらくすると、真奈美が『あ!』と高い声をあげた。
そして、手招きをして裕介を呼んだ。
『見て!これ…』
裕介は、真奈美の指先の記事を見つめる。
そこには、あの《長谷川幸子》の記事があった。
『ドラム缶にコンクリートで埋められた遺体が、先日東京湾で引き上げられた。遺体となって発見されたのは、東京都中野区に在住の長谷川幸子さん(28)。』
真奈美が音読している中、裕介は眉間にシワを寄せながら記事を見つめた。
『被害者の遺体には、刃物で複数もの刺された痕があり、手足はもぎ取られ、臓器が飛び出た状態だった。現在、警察が指紋鑑定などで犯人を捜索中……』
『うっ…』
読んでいる途中で、2人に激しい嘔吐感が襲った。
幸子の死は、あまりに残酷なものだった。
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