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―視聴覚室へ向かっている由紀と伸二。
この2人は両想いなのだがまだ付き合ってはいない。
『…てかさぁ』
由紀が喋り始めた。
伸二は黙って聞いている。
『和也が死ぬとかマジありえないよね…あんな明るい奴がさ…昨日まで元気だったのに』
和也は、明るくてリーダー的存在の男だった。
『うん…。けど、あいつ昨日様子おかしかったよ』
と、伸二が話す。
由紀は伸二の顔を見つめた。
『あいつのケータイに着信が入ってさ…その後にあいつが青ざめた顔して、なんかぶつぶつ呟いてた…』
伸二の話に相槌を打ちながら由紀は耳を傾けた。
『聞こえなかったからさ…耳近づけたら「アイツが来る…!」って言ってたんだ…。俺らが「アイツって誰だよ」って聞いたけど和也震えてどっか行っちゃって…。そんまま…』
語尾を震わせる伸二。
だが、伸二は話し続ける。
『俺さぁ「なんであん時追いかけなかったんだよ…!」って罪悪感でいっぱいだった。和也が死んだ時なんてさ、俺遊んでた…。最悪だよな…マジ最悪だ…』
伸二は頭を抱え、涙を流した。
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