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ガラガラ……
泣き出した伸二を連れ、由紀が視聴覚室の扉をスライドさせた。
『大丈夫…伸二のせいじゃないよ。伸二は何も悪くない』
由紀が伸二の震える背中をさすりながら言う。
2人は視聴覚室へと入っていった。
由紀がパソコンを立ち上げると同時に、伸二もパソコンを立ち上げた。
静かな空気が流れる。
その間2人は無言だった。
(もう…仲間を失いたくない)
伸二は、心の中でそう呟いていた。
静かな室内では、カチカチとキーボードを打つ音だけがこだましていた。
その時。
ブー…ブー…
伸二のズボンのポケットに入れていたケータイのバイブが振動していた。
メルマガか何かだろう…と思い、伸二がケータイを手に取る。
『うわ……っ!』
その声に驚いて由紀は振り返った。
青ざめた顔をした伸二が、ケータイを握り締めたまま震えていた。
『何?どうしたの?!』
由紀は慌てて伸二に駆け寄り、ケータイの画面を覗きこんだ。
画面にはチェーンメールが…。
伸二に送られてきたものは、あの《呪いのチェーンメール》だった。
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