ジャパニーズ

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「ねぇ、おじさん」 「何です?」 「おじさんはどうして、日本人は白人のどれーだ、ってゆーの?」 「どうしてだと思います?」 「知んない」 「そう、それです」 「どれ?」 「分からない、の所だよ」 「だって、知んないんだもん」 「理解出来ないままで良いのですか?」 「だめ」 「何故?」 「ママが言ってたから」 「それだけ?」 「パパも言ってた」 「それは良い両親だ」 「知ってる」 「ハハハ、それは悪かったです」 「アタシのパパとママはサイコーなのよ」 「そうですか」 「そーよ」 「……」 「どうしたの?」 「いや、どういった理由を持って君は、君の御両親を“パパ、ママ”と呼ぶのです?」 「どうゆー事?」 「簡単に言うと、“どうして君は、パパとママの事をパパ、ママって呼ぶんです?”」 「パパはパパで、ママはママだからよ」 「そうでしょうね」 「そうよ」 「でも、アナタは日本人ですよね?」 「あったり前じゃない」 「でしょ?」 「?」 「どうして、お父さん、お母さんと言わないの?」 「考えたこともない」 「そうだろうね」 「そうよ」 「そこが結論です」 「なんの?」 「この議題の、です」 「“どれー”の?」 「ええ」 「ワケ分かんない」 「でしょうね」 「?」 「支配されていることさえ気付かないのが、真の侵略なのです」 「?」 「んー、どう言えばいいんだろうね」 「アタシにきかないでよ」 「そうだな……。 アナタが1日━━二十四時間の間、英語を見聞きしない事が有りますか?」 「ない。 だって、テレビつけたら英語の歌詞を歌っている人がいるし、街を歩いても同じだもん」 「不思議だとは思わない?」 「どこが?」 「ここは日本ですよ? なぜ外国語が溢れてるんでしょう?」 「国際化ってヤツじゃないの?」 「何の為の?」 「世界進出じゃない? ほこるんじゃない?」 「何を?」 「ソニーとか?」 「文豪はいいのですか?」 「?」 「そうですね……。 井伏鱒二なんて素敵と思います」 「誰それ?」 「昔の有名人ですよ」 「へー。 初めて聞いた」 「一度、彼の著書を見てみるといい」 「分かった。 ありがと」 「いいえ」 「ところでアンタ、外人なのに日本語ジョーズね」 「そんな事はありませんよ。 アナタこそ、不思議な日本語を使うのですね」 「そう? 私的には普通と思うけど」 「いえ、不思議ですよ」 「本当に……」          END
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