*第2章* 記憶の詩

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オーギュストは一瞬彼女を見つめ、すぐに振り向き、おもいっきりの驚きをロルフに伝えた。 ロルフもそれ以上に驚いていた。 オーギュストは驚いた拍子に、2、3歩、彼女から離れていたが、さらに続けた。 「そ、それはいったいどういう…」 オーギュストが必死の思いでアンナに再び話し掛けた瞬間、彼女は歌いだした。 シのフラットが響く。 ラ、ソ… 旋律に合わせて彼女はゆっくりと歩き、目の前の階段を一歩一歩くだる。 「皇女様!」 オーギュストが彼女の肩を再びとろうと手を延ばしかけた瞬間、ロルフが彼の肩を掴んだ。 オーギュストはロルフの手を振り払おうとした。 しかし、ロルフはオーギュストの片側の肩を引いた。 オーギュストはロルフの顔を見た。 「ロルフ!」 「見ろ」 ロルフの視線の先には貼紙があった。 『関係者以外立入禁止』
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