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『皐』
懐かしい声が誰かが思い出せない。嬉しさで胸がいっぱいになり堪えきれずにあたしは叫んでいた。
『誰なの?あたしあなたのこと知ってるんだけど思い出せないの…』
誰かがあたしの手を引っぱる。
『ねぇ!明るい方はあっちだよ?そっちは暗いから嫌。』
せっかく明るくて心地よいのに暗いところになんか戻りたくない。
暗いところは怖い……
果てしなく暗い……
でも握った手は暖かかった。あたしの手を掴んで前を歩く男の子の背中をはぐれないように追い掛ける。
追い越したくても追い越せないみえない距離がある。暗いせいで顔もみえない。でも誰なのかあたしは知っている気がする。
『ほら、もう大丈夫。迷ったらダメだ。生きてる君がこっちに来たらダメなんだ。』
男の子は手を離し、光の方へと去っていく。
『待って!行かないで!!一緒にいたいの!』
わけも分からず口走るけれどあたしは本気で叫ぶ。だってまだ一緒にいたい……………。
『大好きだよ』
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