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「待って!!」
あたしはベッドの上だった。
ああ、夢か……。
ここは病院だろうか……
壁が白い。
天井へと突き出した手は虚しく何も掴むことができなかった。おさまりが悪いその手を布団の中へ寂しそうに引っ込めた。
「皐!!良かったぁ……心配かけさせないで……」
リツ子………
あたし………
車に引かれて……
はねられたはずなのに、生きてる。
でも身体中は痛いし頭もズキズキするけど体は動く。
「いたた……。あたし車に引かれたと思ったんだけど……」
身体を起こすのをリツ子が手伝ってくれた。
それから……無言になってしまった。
「ねぇ、リツ子。なんで黙っているの?」
一瞬、言おうか言わないか戸惑った表情をしたが……リツ子は説明をした。
「皐はね……車にひかれなかったの。引かれるの直前にね………………恵が庇ったのよ。」
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