1、学園

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「う~ん、え~っと……」    とことこと、長い廊下に一人の少年が歩いていた。  銀の短髪にそれよりも濃い銀の瞳、低身長で華奢な身体に着ている高校生の制服を着ていないと、中学生に間違えられかねん美少年だった。    彼が今いるのはこの高校の寮であり、今は自分の部屋を見つけようと四苦八苦して探しているのだ。    しかし、三十分歩いているのに一向に部屋が見つからない。      坂峯アキト、十七歳。ただいま絶賛迷子中だった。      さらに十分探しても見つからない。   「ぐすっ……ぐすん……」    ついには泣き出し始めてしまい、曲がり角を俯きながらも曲がろうとした、すると……。   「わぷっ?」 「おっ……と」    思わずいきなり出てきた人にぶつかってしまい、アキトはぶつかってしまった人の胸に顔を埋めてしまった。  そのぶつかった人のがたいのいい身体に胸がどきんと跳ね、両肩は支えられている所からその人の熱が伝わって来た。   「大丈夫か?」 「は、はひゃい!?」    思わず抱き付いていたままだったのを思い出して、アキトはすぐに身体を離した。  そして前を見て、どきんとする。      肩まであるきれいな黒髪に、冷たそうだけどどこか優しそうな目付き。  その人に、男であるアキトは男である彼に、初めての一目惚れをしてしまった。     「(すごい……、かっこいい)」    女の子のような感想を抱いてしばらくぽけ~っと見つめていたのだが……。     「こら」 「わぎゃあ!?」      べしん!と額をいきなり叩かれて、思わずしゃがみ込んでしまう。  疑問符を大量生産しながらまた見上げると、さっき見た優しそうな顔が一変して、怖い顔をしている。   「どいてくれ、って言ったんだよ」 「え?」 「そこ、俺の部屋の前だから。入れない」    言われて、左を見てみる。  そこにあったのはいくつも見た青い扉で、さらに上を見てみると……。      神紀 沫      と、確かに在住を知らせるカードにそう書いてあった。
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