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「沫……っていうんだ……、うひゃあ!?」
またしてもいきなり、今度は両脇に腕を差し込まれてひょいっと持ち上げられた。
「軽っ……、本当に男か?」
「ぐさっ!」
少し気にしている所を指されて、胸が痛む。
「早く部屋に戻れよな。おチビさん」
「なっ、なんだよもう!子供扱いしないでよ!!」
思わず怒鳴ってしまうけど、自分でも悲しくなるぐらいにかわいい反抗しかできない。
案の定、沫はアキトの子供じみた姿に笑いを軽く堪えていた。
「そういう所がガキなんだよ」
「なんだよぉ!僕だって今年で十七だもん!大人だもん!!」
叫びつつも、アキトは自分の幼すぎる反抗態勢に心中で泣いた。
さすがに呆れられたかと思って前を見てみる。
するといきなり、
「大人、だって?」
右腕を掴まれて、引っ張られた。
「うわっ……!?ひゃうっ!!」
痛くはないけれど背中を扉に叩き付けられて呼吸が止まり、左手も掴まれてしまった。
「本当に大人なのか?」
目の前に迫っていた沫の顔にどきどきするも、嫌な予感に別の意味でどきどきしている。
「そ……そうだよ」
嫌な予感を振り切ろうとして声を出すけど、震えてしまう。
沫の目が、なんとなく怖かったからだ。
「お前が大人なら、証拠ぐらいみせてもらおうか?」
「え……?」
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