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それまでは眠るように、と俺達に魔術を施してマナ母さんは立ち去る…ティゼルグを連れて。
「マナはん、怒るとこわいんやな…。」
「うん…。
昔からあんなかんじにおこってた…」
眠りの魔術のせいで重たくなる瞼。
何とか逆らおうとするも、襲ってくる睡魔には勝てなかった。
「…みんな、なんしとるやか……」
「……べんきょ…だと…う」
++++
一本の木。
その巨大な木の下に、先程の聖霊神達は集まっていた。
『マナ様がお怒りになられた姿…久しぶりであったな…。』
時空の聖霊神ゼノンは、隣りに居る月の聖霊神フルムーンに話し掛ける。
『尋常じゃないくらい怒ってたわ…』
フルムーンはゼノンの言葉に先程のマナを思い出し、身を震わせる。
『マナ様、おこる…怖い。』
短い言葉で怯える雷の聖霊神、スベルタ。
『こわかったの…ごめんなさいなの。』
ウサギのぬいぐるみをギュッと抱き締めながら、カタカタと怯えるのは光の聖霊神アリスだ。
『ディルの事となると、マナ様は見境が無くなるからな…。
神王を退くとまで仰ったくらいだ。』
そう言いながら溜息を吐く無の聖霊神ジェノムは、他の聖霊神と同じように些か怯えているようだ。
『末恐ろしいものよ…。
マナ様を味方に付けたディルは。』
自分達も慕っているとはいえ、ゼノンはディルの行く末に恐怖する。
『そういえば…ゼクシル?
昔にディル様を消しかけた際…しばらく顔を見ませんでしたが、まさか……。』
ふと、花の聖霊神フローラは昔の出来事を思い出して時間の聖霊神ゼクシルに尋ねた。
『思い出させないでくれ…。
未だにそれで咎めを受けるのだ…!!』
ゼクシルは思い出すのも嫌なのか、頭を数回横に振って怯える。
すると聞き慣れた声を聞いて全員がその場に硬直した。
『皆さま…。
面白い会話をしていますね?
ちゃんと覚えておいて下さい。
次はありませんよ。』
微笑みながら言う、聖霊神王マナ。
その瞳と醸し出すオーラは、未だ怒っているという事を全員に伝えていた。
『少しは他の者を見習いなさい。
闇、土、風、火、太陽の者達は貴方達より、とても賢いです。
分かりましたら、持ち場に戻りなさい。』
そう言って立ち去るマナ。
そんなマナに逆らう事なく、聖霊神達は力無く持ち場へ戻っていった…。
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