++聖霊界++

5/8
1419人が本棚に入れています
本棚に追加
/856ページ
それまでは眠るように、と俺達に魔術を施してマナ母さんは立ち去る…ティゼルグを連れて。 「マナはん、怒るとこわいんやな…。」 「うん…。 昔からあんなかんじにおこってた…」 眠りの魔術のせいで重たくなる瞼。 何とか逆らおうとするも、襲ってくる睡魔には勝てなかった。 「…みんな、なんしとるやか……」 「……べんきょ…だと…う」 ++++ 一本の木。 その巨大な木の下に、先程の聖霊神達は集まっていた。 『マナ様がお怒りになられた姿…久しぶりであったな…。』 時空の聖霊神ゼノンは、隣りに居る月の聖霊神フルムーンに話し掛ける。 『尋常じゃないくらい怒ってたわ…』 フルムーンはゼノンの言葉に先程のマナを思い出し、身を震わせる。 『マナ様、おこる…怖い。』 短い言葉で怯える雷の聖霊神、スベルタ。 『こわかったの…ごめんなさいなの。』 ウサギのぬいぐるみをギュッと抱き締めながら、カタカタと怯えるのは光の聖霊神アリスだ。 『ディルの事となると、マナ様は見境が無くなるからな…。 神王を退くとまで仰ったくらいだ。』 そう言いながら溜息を吐く無の聖霊神ジェノムは、他の聖霊神と同じように些か怯えているようだ。 『末恐ろしいものよ…。 マナ様を味方に付けたディルは。』 自分達も慕っているとはいえ、ゼノンはディルの行く末に恐怖する。 『そういえば…ゼクシル? 昔にディル様を消しかけた際…しばらく顔を見ませんでしたが、まさか……。』 ふと、花の聖霊神フローラは昔の出来事を思い出して時間の聖霊神ゼクシルに尋ねた。 『思い出させないでくれ…。 未だにそれで咎めを受けるのだ…!!』 ゼクシルは思い出すのも嫌なのか、頭を数回横に振って怯える。 すると聞き慣れた声を聞いて全員がその場に硬直した。 『皆さま…。 面白い会話をしていますね? ちゃんと覚えておいて下さい。 次はありませんよ。』 微笑みながら言う、聖霊神王マナ。 その瞳と醸し出すオーラは、未だ怒っているという事を全員に伝えていた。 『少しは他の者を見習いなさい。 闇、土、風、火、太陽の者達は貴方達より、とても賢いです。 分かりましたら、持ち場に戻りなさい。』 そう言って立ち去るマナ。 そんなマナに逆らう事なく、聖霊神達は力無く持ち場へ戻っていった…。
/856ページ

最初のコメントを投稿しよう!