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くすぐり続けた俺は満足すると、カイトの上から退いてやる。
カイトはゼーハゼーハと呼吸を荒げながらグッタリしていた。
「ふう☆」
「ふう☆や、ないわぁぁあ!!
くすぐりすぎやっちゅーに!!
笑い死ぬかと思うたやないか!!」
うつ伏せたまま俺に文句を言うカイト。
俺は口笛を吹きながら知らないフリをしてマナ母さん達の元へと行く。
『楽しかったねー♪』
『楽しい、また…やる。』
シルフィとスベルタもカイトを無視してこちらにやって来た。
「はぁ…はぁ…っ。
ディル覚えときや…借りは必ず返す!!」
息を切らしながらも、こちらにやってくるカイト。
俺は笑いながら紅茶を啜る。
「最近、物忘れが激しいからなぁ☆」
そう言って笑う。
するとマナ母さんがクスクスと笑い出した。
『フッ……』
つられて全員が笑う。
何でだろ、別に何が面白いってわけじゃないのに自然と笑顔が出るや。
「あー…楽しかったぁ♪」
そう言うと、カイトも楽しかったのか…曇りのない笑顔を見せた。
それがまた嬉しい。
「またやろか♪」
その言葉に笑顔で頷く。
するとマナ母さんが口を開いた。
『二人共疲れたでしょう…。
湯船に浸かり…。
今日はもうお休みなさい…。
明日には人間界に戻れるでしょう…。』
俺達は頷くと、いそいそと暖かい湯船の所まで向かった。
聖霊界に来て約一週間。
俺とカイトはすっかり元気だ。
「はぁ~…♪
癒やされるぅぅ…」
「ほんまやぁ…て、年寄りくさいで?」
湯船に身体を浸し、遊び疲れた身体を癒やす俺達。
笑いながら、口を開く。
「明日には人間界…か。」
少し寂しいと思った。
ブクブクと潜りながら、カイトはそんな俺に言う。
「仕方ないなぁこればかりは。
ほんま…ずっとここに居りたいで。」
二人してしょんぼりとなる。
学園の事、試験の事、起こる事件の事を考えると早く戻らないといけないのだが。
「居心地いいしねぇ…。
ゆっくり寝れるし、気にしなくていいし。
それ考えると帰りたくないなぁ。」
「せやなぁ…。
もっと遊んどきたいしなぁ
それに気にせぇへんでええし。」
「さっきそれ言ったぁ。
何かもー疲れるんだよな…ほんと。」
「同じや…というか疲れたディル見るんが嫌で仕方ないんよなー。」
「仕方ないじゃん疲れるんだから。」
「もっとルイス達がなぁ…。」
「ほんとだよなぁ。」
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