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「じゃあもう行くね。」
俺とカイトは人間界へと帰る為、ゼノンの作り出した扉の前に立っていた。
「世話んなったなぁ。
ほんまありがとうな。」
見送る為か、聖霊神の皆は俺達の前に姿を現していた。
そんな皆に俺達は礼を言うと、扉に手をかける。
『ぐるるるる…。
二人共、いつでも来るがいい…。』
そう言うサラマンドラに、俺とカイトは笑顔で応えた。
そして扉を開く。
光の中に足を踏み出し、皆に背中を向けたまま俺とカイトは片手を上げた。
「また…来るよ。」
そう言い残し、扉を閉めた。
―――ガチャリ
聖霊界の扉を閉めた瞬間に変わる景色。
出た場所は俺の部屋だった。
ゼノンは俺の部屋と聖霊界の時空を繋げたみたいだ。
「「…ただいま。」」
「「お帰りなさい!!」」
皆が見つめる中少し照れくさそうにそう言うと、笑顔で出迎えられた。
しばらく俺はもみくちゃにされると、カイトが引きずり出してくれた。
「もう大丈夫そうですね♪
2日間の間に…凄い回復力です。」
半ば関心したように言うアイル。
2日間?
あぁ、時間を調整してくれたんだ。
「ほんま…何から何まで、やな。」
ぼそりと言うカイトに苦笑しながら頷くと、俺達はこの2日間の状況を聞く。
「カレナ様達には、ディル様とカイト様は少し旅に出たとお伝えしています。
シュー先生には本当の事を…シュー先生はディル様とカイト様の事を考えて、授業内容を変更して下さいましたわ。」
状況が読めてくる。
俺とカイトは実績訓練…武術力を上げる為に<<迷走の森(まよいのもり)>>へと行ったらしい。
「実家に帰ったとか言っとけば良かったんじゃないか?」
すると皆は顔を見合わせて苦笑した。
何だ何だぁ??
「ディルとカイトに、それは無いかなー?
って思ってさー。
二人は旅に出てもおかしくないけどー、家に帰るのは不自然だと思ったんだー。」
確かに一理ある。
俺とカイトは苦笑して、今日の日程を尋ねた。
時計を見ると、昼の12時を指している。
「午後の授業は三学年…つまりオレらと実習室で武術訓練だ!!
昼休みが終わる少し前に『草原エリア』に行こうぜ!!」
ニカッと笑うアラミン。
やったー!!アラミンと一緒だー!!
「そういえば二人共、昼食は取ったの?」
エリシアの言葉に頷く俺達。
実際口にしたのは聖霊の実だけなのだが、俺もカイトも事足りている。
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