試験

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エリシアの言葉にルイスとアラミンを除く皆が遠くを見据えていた。 アラミンは何かを考えているようだ。 「アラミンどしたの?」 「ん…何でもねぇ!!」 少し違和感のあるアラミンに、どうしたのか声を掛けるも…はぐらかされた。 俺とカイトは顔を見合わせて首を捻る。 「皆様、そろそろ実習室に行きませんか? 少し早めにシュー先生のお手伝いを致しませんと。」 シューちゃんに何かを頼まれているらしい…リディアは実習室に俺達を促すと、転移魔術の準備を始めた。 「何か頼まれ事かいな?」 「ええ。 試験に必要らしいわ。」 「へぇー…っていいのか? 試験内容バレるんじゃねぇの?」 「行けば分かる。」 エリシアとルイスに首を傾げながら、俺達はリディアの作り出した転移魔術の魔導陣へと足を踏み入れた。 「……聞いてねぇ。」 実習室に着くやいなや、シューちゃんに鷲掴みにされて連行される俺とカイト。 そして今やっている作業に溜息を吐いていた。 「お前ら二人には言ってないからな。 居ないお前らが悪い。」 「そりゃないで…」 再び溜息を吐く。 今やっている作業は、試験に使う魔導陣を描いている。 「試験の内容は全生徒チーム戦。 試験は約一週間行われる。 お前らの参加した『魔術コンテスト』のチームバージョンだ。 但し…戦う相手は魔物。」 だから大量の召還魔導陣が必要らしい。 一人10個。 それが魔術の試験。 魔物と戦うのが、武術の試験。 「……凄い召還魔導陣描いてやる。」 飛龍とか飛龍とか飛龍とか飛龍とか。 絶滅してるけど。 「アンデット系もありかいな? ドラゴンはどや? せやな…最上位のギガントスとか。」 「あ、それいいかも。 ギガントスの亜種とかもいいなぁ。」 「お前ら生徒を殺す気か…?」 ギガントスは全長5メートルの巨大な魔物の事だ。 目が三つあって、角がある。 毛むくじゃらで緑色の身体…亜種は毛の色がピンクだったりする。 シューちゃんはとんでもない魔物を召還しようとしている俺達に、溜息を吐く。 どうやらダメみたいだ。 「ギルガメッシュ…エルデメッシュ。 エアウルフにピクシーだろ…。 ユニコルド、パキスバルタに…」 「全部却下だ!! もう一度言うが、生徒を殺す気か?!!」 だめ出しされた。 エアウルフとピクシーはいいと思うんだけど…下位モンスターだし。
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