試験

9/43
前へ
/856ページ
次へ
「アラムから聞いている。 君がとんでもない魔術師であると。 あのアラムを唸らせるのだ、手加減は必要ないだろう?」 そう言って魔導陣を一瞬で地面に描くレナード。 「俺に魔術の手加減? そんな事したら死んじゃうよ♪」 笑って言うと、レナードはフッと不敵な笑みを浮かべた。 不敵な笑みと共に、詠唱される魔術。 やはりレナードの個人属性は『土』みたいだ。 「『ロック・グレイヴ』」 「『エレメンタル・ドライブ』」 上空から落ちてくる巨大な岩。 それに水の魔術をぶつけて相殺する。 「『闇』属性と聞いていたが…。 なるほど、威力を上げているのか。 『エンシェント・グロウ』」 俺の足元から次々と土の槍が出現する。 俺は避けずにそのままでいた。 「魔術って便利だよね♪」 俺を突こうとして現れる土の槍は、直ぐに砕け散った。 鋭い風の刃が岩を砕いたのだ。 「無詠唱か。 『アース・クウェイク』」 「空を飛ぶ事も出来たり♪ ほんと便利だよねー。」 俺の足を掴もうとする土を、宙に浮いて避ける。 何だかさっきから攻撃されまくりだ。 「俺からも行くよー 『スプレイン』!! 追加発動『ウォーターラッシュ』!! 効果発動『エレメンタル・スラッシュ』!! 続けてくらえ!! 『レイン・アロー』!!!」 イジメのような魔術のオンパレード。 レナードは相殺するので手いっぱいだ。 「もういっちょ。 『エタニティ・ルード』!!」 最後の放った魔術は、地面から大量の水を具現させるとレナードを呑み込んだ。 生きているだろうか。 「…やりすぎたかな?」 少々調子に乗ってしまった。 発動した魔術が消えると、そこには岩が存在していた。 「おぉ!! そうきたか。」 土のシールド。 レナードはそれを張って魔術を凌いだようだ。 張られたシールドは、バキバキと豪快な音を立てて砕け散る。 「……末恐ろしいな。」 少し水をかぶったらしい。 レナードは上から下までずぶ濡れだ。 「良く言われる♪」 特に聖霊神から。 俺はレナードに火の魔術を施す。 一瞬固まったが、直ぐに表情を変える。 「凄いな、この魔術。」 俺が施した魔術は、いつも風呂上がりに施す「身体を乾かす」魔術だ。 関心しているのか、驚いているのかレナードは溜息を吐いた。 「勝てる気がしない。」
/856ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1421人が本棚に入れています
本棚に追加