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わいはイリスて女の人と魔術の組み手をやっとった。
ディルを見ると、何や凄い事になっとる。
追加発動に効果発動を重ねたで。
ほんま敵に回せば厄介やな‥。
「カイト君、余所見しないでね?
『フロウ・アロー』」
「すんまへん。
『ボルテール・スピカ』」
襲いかかってくる風の矢を、光の矢で相殺する。
イリスは『光属性』が珍しかったんか、何や驚いとった。
「カイト君は『光』属性なの?」
その言葉に頷く。
イリスはまたも驚き、話を続けた。
ワイはディルを見たままや。
何や調子良さそうやな。
「ディル君が気になる?」
ずっとディルを見つめるワイに、イリスは苦笑する。
悪いとは思うが、病み上がりのディルが気になってまう。
「せやな…。<<迷走の森>>から帰ってきたばっかやから、疲れとるんやないか心配なんや。」
ほんまの事は言えへんので、適当に理由を付けてもうた。
何や心配ないみたいやけど。
ディルも楽しそうやし、今はまだ大丈夫みたいや。
「それは君も一緒でしょう?
カイト君がそんな状態だと、ディル君も心配するんじゃないかな。」
イリスの言う事も一理ある。
ワイは気を取り直してイリスに向きやった。
「せやな!!
えらいすまんかった、続けよか♪」
組み手に集中する意志を見せると、イリスは笑顔で頷いた。
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「(カイト君、またディル君見てる。)」
私はディル君に教えてもらった魔術を放ちながら、チラリとカイト君を見ていた。
いつもそう。
私はカイト君を目で追ってる。
「『エレメンタル・アロー』」
朝起きて考えるのはカイト君の事。
今日も元気かな、今日も話し掛けてくれるかな、今日はカイト君に何て話そう…。
そんな事ばかり考えてる。
「おっと。
『フレイム・アロー』」
なのにカイト君ったら、いつもディル君と一緒に居るんだもん。
ディル君はディル君で邪魔ばかり。
「『水の妖精』」
二人は幼なじみって知ってるけど…。
ちょっとやだなぁ。
一回、街に行こうとカイト君を誘ったらディル君と約束してるからって断られたし…何か二人の間に入っていけなくて、すごいもどかしい。
「すごいね、上級魔術を詠唱破棄なんて。
『火の妖精』!!」
ずるいよ、ディル君。
私もカイト君の中に入れてよ。
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