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ひたすら作っていく魔術。
段々と増えていくそれに、生徒達は傍観しながら逃げていた。
因みに、魔鬼ごっこはとっくに終わっている。
「………あれ、全部爆発したら……」
「言うなエリシア。」
そんな会話を聞き流し、俺達は続ける。
段々と増えていく魔術。
そして段々と無くなっていくイリスの魔力が終わりを告げようとしていた。
「………ディル君、まだ…あるの…?」
「うん♪」
にこやかに笑う俺に、イリスは負けを認めてくれた。
創造した魔術は跡形もなく消す。
「…完敗、したわ。
もう魔力が無いのよね。」
負けたのに清々しい表情をするイリス。
俺はそんなイリスに笑ってみせる。
「でも凄いよイリス♪
ここまで創造出来る人、カイトくらいかと思ってたんだけど…世界は広いな!!」
俺達は再び笑うと、握手を交わした。
皆はそれを遠巻きに…遠くを見つめながら見ていた。
「…二人は天災だな。」
「字が違うで、レナード。」
俺とイリスは喋りながら皆の元へ向かった。
皆は少し俺とイリスから距離を取る。
「何だよー!!」
皆に文句を言いながら、カイトを捕まえて疲れたとグテッとなる。
カレナが一瞬ムッとしたが、直ぐに表情を戻した。
「……」
突如、イリスがパタリと倒れる。
焦ってイリスを抱きかかえるリース。
「……すー。」
「「寝てる。」」
魔力を使いすぎたのだろう。
俺みたいに命の危険は無いようで、リースは苦笑しながらイリスを背負う。
「俺が連れて行こうか?」
イリスの魔力を尽きさせたのは俺なので、責任感から申し出ると断られた。
「女の身体に触るなんぞ、五年早い。
出直してきな♪」
どういう意味だ。
俺は首を傾げながらカイト達を見る。
何でか視線を逸らされた。
「???」
こうして、俺達は今日の授業を終えた。
明日から一週間は試験習慣。
勉強のためしばらく遊ぶ事は出来ないが、仕方ない。
一週間の間、自室で筆記試験の勉強をするとしよう。
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