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話が噛み合わないまま時間が無駄に過ぎていく。一向にK.Yを取り次いでくれる様子はない。父親ってそういうものなのだろうか。   いや、待てよ?   背筋を冷たいものが走り、僕は慌てて発信履歴を見た。 ……番号がっ! 違う!!   090-XXXX-XXXXと掛けなければいけないところを、   0990とかけていた。   僕は緊張のあまりダイヤルQツーに電話していたのだった。   我ながらすごい精神状態だ、しかしそうとわかればこの電話越しの変態に用はない。   「んんー? どうしたんだい? 急に黙りこくってェ……感じてきたのかい? フヒ」   「黙れ小僧!」ピッ!   僕は美輪ばりに言い放ち電話を切った。お前にサンが救えるのか? 否ッ! 断じて否あッ!!   そしてこの電話のやり取りが逆に僕を冷静と情熱の間に導いてくれた。逆に。   電話番号確認よし!   もう逡巡しない! 僕はK.Yへと告げる。   僕は君の期待に応えることはできない、僕は先輩が好きなんだと!   電話のコールが鳴る。 2回、3回……   一度目の緊張感はどこかへ消えてしまっていた、そういう意味では先程の変態にお礼を言いたい。   ありがとうQ2。もうお前の世話にはならん。   ……   ……   おかしいな、電話に出ない。   確認済みだが念の為もう一度確認してみる。……大丈夫だ、番号に間違いはない。   一度受話器を置き、祈るような気持ちでもう一度発信ボタンを連打する。   1秒間に16連射、名人級である。   と、高橋名人に思いを馳せている間にあっさり電話は繋がった。   「……もしもし」   蚊のなくようなか細い声、K.Yだろうか。なにしろ今日初めて話したのだから、声まではよく覚えていなかった。   「もしもし、僕です。手紙をくれたK.Yだよね?」   すると電話の主からは思いがけない返事が返ってきた。   電話の主はK.Yの母親、そしてK.Yは二年前に交通事故で亡くなっていると言う。   これは一体全体どういうことなのだ。『こういうことなのだ』と説明できる奴がいたら連れてきて欲しい。ビンタしてやる。
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