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立っているさくらの位置からでさえ見えなかったまおちゃんに、どうして気付いたのか?
『何で?』
聞いてはみたい。
でも聞いても、
『実は見えてるんです』
位は、平気で言うタイプだ。
『まぁ、、、偶然だよね?』
そう自分に言い聞かせながら、さくらは足早にカウンターに向かった。
・・・・・・・・・・・
短い電子音が響いた。
直江のデスクのPCからだ。
さくら達の声を背中で聞きながら、直江が画面を確認。
メールの着信だ。
タイトルは
『NOIR』
(ノワール)
確かフランス語で『黒』を表す言葉だ。
直江は躊躇なく開く。
そこには、いくつかの数字とアルファベットが並ぶ。
一瞥した直江が、細い目を更に細めた。
「なるほど、、仕事ですか」
どこか、からかうような口調。
メールは、そのまま削除
「忙しくなりそうですねぇ」
怠そうに伸びを一つ。
デスクの上のカップに手を伸ばすと、冷め切ったコーヒーを飲み干した。
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