事の発端。

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行くあてもなく境内をぶらぶらしている魔理沙。 「さて、と。仕方ない、家に帰って自分で作ろうかな・・・・・・ん? なんだ・・・?」 ふと目を向けた先から、何やら小さな人影のような物が、空を飛びながら魔理沙に近づいて来ていた。 よく目を凝らして見てみると、それは、 「ん、あれって、アリスの人形じゃないか?」 一冊の本ほどの小さな体に、フリルの着いたワンピース、大きなリボン。 そして妖精のような羽を持つ人形は、魔理沙の前までやってくると、その場でふわふわと浮かびながら、魔理沙に向かってペコリとお辞儀をした。 「こりゃご丁寧にどーも。で、何か私に用かい?」 魔理沙が問うと、人形は頷き、一枚の封筒を差し出した。 「ん、手紙? アリスからか。届けてくれてありがとな。戻っていいぜ」 それを聞いた人形はふるふると首を左右に振り、手紙を指し示した。 「今すぐ読めって?」 コクコク。 「OK、わかった。さて・・・何が書いてあるのやら、っと」 封筒を開け、中から便箋を取り出そうとした時、遠くから魔理沙を呼ぶ声が響いた。 「魔理沙さーーーん!」 「ん? ・・・あぁ、アイツか。 どうしたー? 何か用かー?」 再び魔理沙の前に飛んでやって来たのは、紅魔館に住む小悪魔だった。 主にパチュリーの側にいる彼女だが、何故か自分の名前を明かさない。なので、魔理沙を始め他の面々には、「アイツ」、「あなた」といった呼ばれ方をされている。 そんな小悪魔も魔理沙の前に降り立ち、少し疲れたような顔で話し始めた。 「ふぅ・・・。もう、探しましたよー魔理沙さん! お家に行ってもいらっしゃいませんし・・・。 また森でキノコでも探してるのかと思いましたよー」 「いやぁ悪い悪い。ちなみにキノコは昨日採ってきたぜ。珍しい奴を見つけてさぁ・・・っと、そうじゃないな。何か用事なんだろ?」 つい脱線して始まろうとしていたキノコ談義を中断させ、魔理沙は尋ねた。 「あ、はい! 実はですね、パチュリー様から伝言をお預かりしてまして」 「伝言? パチュリーから? なんだろうな、聞かせてくれよ」 「はい、わかりました! えっとですねぇ・・・」 そうして小悪魔は、伝言を話し始めた。
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