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「・・・ふむ、なるほどな」
パチュリーからの伝言を聞き終えてから、アリスからの手紙も読み終えた魔理沙。
「それにしても、まさか二人から同時に食事の誘いがくるとはなぁ。いきなりどうしたんだろうな、二人とも」
(・・・・・・)
「え~~っと・・・ど、どうしたんでしょうねぇ?」
まったく二人の意図を理解していない魔理沙の発言に、互いの主人の決意を伝えに来た人形と小悪魔はどう反応していいものか困っていた。
人形も小悪魔も、自分の主人がこの少女に対して特別な感情を抱いていることには当然気付いていた。
そして、その感情の持ち主が二人いるということが、どれだけ大変な事かも理解していた。
自分達は、いわば間接的に宿敵同士と言っても過言ではないのである。
(それなのに・・・)
(・・・・・・(汗))
――魔理沙の口から、
「どっちか断るのも悪いしな。それに、あの二人の手料理ってのも気になるし」
――女の戦いの始まりを告げる、
「よし、二人とも! 私はここにいるからさ、ここまで届けてくれって伝えてくれよ」
――言葉が発せられた。
(ななななんでそんな明らかに修羅場が待ってるような提案をするんですかーーーーーッ!?)
(・・・ガクガクブルブル(涙))
二人の声無き叫びは、残念ながら魔理沙には伝わらなかったようで・・・
「・・・ん? おーい、どうしたんだ二人とも?」
(・・・!? ・・・!(コクコク))
「ふぇっ!? あ、えぇ、はい! わ、わかりました! しっかり伝えますよ!? えぇ伝えますともっ!」
あたふた。
「・・・? あぁ、頼んだぜ・・・?」
「そ、それでは失礼しますねっ!」
(!(ペコリ))
この後起こり得る惨事による恐怖を何とか押し返し、とにかく報告に戻ろうと、二人は神社の境内を後にした。
「・・・なんか妙に焦ってたような・・・・・・まぁ、気のせいか。それよりアリスとパチュリーの手料理だな! なかなか楽しみだぜ」
いきなり激しく動揺し始めた二人を見送った後、社の縁側に腰を下ろして今日の昼食に様々な想像を巡らせる、実に平和な昼下がりを過ごす魔理沙なのであった。
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