グッバイ・カゴシマ

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「お前に聞きたいことがある」 突然呼び出されて、取り調べ室に入った。 「昨晩、お前の部屋の隣りのヤツが、食器口から警務官の腕をつかんだ」  食器口とは、文字通り食器の出し入れに使う、小さな窓で、ほとんどのやり取りはここから行う。 「暴行事件として扱おうと思うが、証拠がない。お前は何かやり取りを聞いてないか?」  なんかガサガサ音がしてたのは記憶にある。 「会話の内容は?」 「それはわかりませんでした。昼間は酒の作り方を叫んでましたが…」 「そうかぁ」 「腕をつかまれたのなら、制服から指紋を取っては?」 「それが…つかむ時、タオル越しにつかんだらしい…」  なるほど。隣人は知能があるんだかないんだか分からないなぁ。
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