あいつが来た

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「痛たた…でもさ、びっくりしたでしょ?」   「びっくりどころか、本当に心臓飛び出すかと思った。呪いかと思った」   「わーい、ドッキリ大成功」   「次やったら殺すから」   「マジ?那智ピンチじゃん」     いつもの冷静差はどこへやら。   彼女、水倉那智がいると、いつもこんな感じで振り回される。   こんな姿、できれば他の人には見せたくない。   見られたら生徒会長としての威厳が、脆く崩れ去っていきそうだから。     「ところで那智、今は三時間目のはずなんだが…何故ここにいる」   「清羅がここにいるからじゃんか」   「え、まさかの俺のせい?ふざけるな、教室帰れ」   「君のいる場所が私の居場所なんだ」   「単に友達いないだけだろ」   「失礼な!私にも友達くらいいたさ!」   「すでに過去形じゃないか」   「去年死んだエリザベータ・ミドル・デ・マリン」   「何人?!」   「散歩しようと小屋覗いたら死んでた」   「犬かよ!」     そうこうしているうちに、授業終了のチャイムが鳴ってしまった。   清羅は溜め息を吐いて、那智を脇に抱えて部屋を出た。
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