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ある日の事でございます
お釈迦様は極楽の蓮池の淵を一人でぶらぶらと お歩きになっておりました
蓮の花からは金色の随が真っ直ぐに伸びていて何ともいえない良い匂いが辺りに漂っております
お釈迦様はふと足を止めて池の中を覗きこみました
この池は地獄の上にありますから丁度 覗き眼鏡のように見る事が出来るのでございます
お釈迦様は ある一人の罪人がうごめいているのを お目に止めました
この かんだたという男 何人も殺した大泥棒でございますが 一つだけ良い事をした覚えがございます
それは 罠に嵌まったウリ坊を助けてあげた事です
お釈迦様は この男を助けてやりたくなりました
ふと目を上げると 池の淵にウリ坊が一頭
お釈迦様は ウリ坊の毛を編んで するすると降ろしていきました
さて こちらは地獄の底の かんだたでございます
かんだたは この糸を見ると大急ぎで近寄り
持っていた斧で糸を切りました
お釈迦様は ボー然と見ておりました
『あれ😓アイツかんだたじゃなくて…ドラクエのカンダタぢゃん…』
著 芥川 龍ﾘ之介
『ウリの糸』 完
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